2012年4月23日月曜日

回転寿司を愛してる!


金沢に来たらどうしても食べたいものがある。
もちろん、回転寿司以外での話だ。

B級グルメファンの方なら「ハントンライス?」と思うかもしれない。
あるいは地元の方なら「チャンカレ?」と思うかもしれない。
ハントンライスもチャンカレも素敵だが(知りたい方は調べてみよう!)、私が絶対に食べたいものというのは『ゲンゲ』である。

これまで当ブログでもゲンゲについては何度も述べているが、とにかくこの魚に取り憑かれているといってもいいかもしれない。

ゲンゲの存在を知ったのはいまから30年ほど前になるだろうか。
当時、いたいけな子供だった私は大のプロレスファンであった。
時代は猪木とハンセンが死闘を繰り広� ��、またウィリー・ウィリアムスとの異種格闘技戦に燃え上がっていた頃である。
そんな時に文化人最大のプロレスファンといってもいい村松友視氏の2冊目のプロレス本「当然、プロレスの味方です」が発売された。

もちろん、私は発売日に購入しむさぼるように読みふけった。
そこには八百長と揶揄され、肩身の狭い思いをしていたプロレスファンの溜飲が下るようなすきっとしたプロレス論が展開されていた。
その序文にゲンゲは出てくるのだ。


パブストは古いスタイルのレシピを変えた

村松氏はある冬の日、富山で食べた「ゲンゲ鍋」に衝撃を受ける。
そして、体中をヌルッとした寒天状の物質に覆われたゲンゲという魚が、まさにプロレスファンの本質だと語っているのだ。
それ以来、私の頭からゲンゲという魚が消えることはなかった。
体中を寒天に覆われているという謎の魚。
プロレスの本質を体現するスゴイ奴…
会いたい……会ってそのヌルヌルの体を抱きしめたい……
そんな夢をずっと抱きながら生きてきたのだ。


(これが全身ヌルのゲンゲ様
 前回訪れた近江市場にて撮影)

それから数十回の冬が過ぎ、ようやくゲンゲに出会え感涙にむせび泣くのだが、それはまた別の話。
今日は今年初のゲンゲを求めて、まずは金沢の台所・近江市場へとやってきた。

ここにくれば北陸の魚が全部揃う、といわれだけあって、見ているだけでも楽しい。

ガスエビも卵をたっぷりと抱え、美味しそうだ。

おっと、こっとの特大ホタテは北海道産ですか。
基本は地物だが他産地のものも置いてあるようだ。

だが……どこを探してもゲンゲはいない。
もともとあまり市場に出回るような高級魚ではなく、どちらかというと下魚の仲間ということやゲンゲの季節が終わりかけていたのでそれもやむなし。


アイルランドのコケのドリンクを作る方法

市場内の回転寿司店に寄ろうかと思ったが、回転寿司店の素晴らしさを再確認するために定食屋へと向かうことにした。
しかも、行列ができている人気店に。

そこで多くの人が注文していた「ウニ・カニ・イクラの三色丼」を頼んでみる。
回転寿司店のランチメニューの丼と比較したかったからである。

で、どうだったかというともうこれは回転寿司側の圧勝ですな。
やはり観光客相手ということで、いろんなところにほころびが見える。
近江市場でのおすすめはやはり「かいてん寿し 大倉」ですかね。(かいてん寿し 大倉 今日のテーマ「熟女好みの回転寿司」をご覧ください)

といったわけで、夜は金沢の名店「源左ェ門」へと赴く。

こちらは金沢に訪れると必ず寄らせていただいている酒亭である。
もう何度目の来訪になるだろうか。

なんといっても落ち着きがあって良い。

そして酒も肴も最高だ。
一人でじっくりと飲んでいると時の経つのも忘れてしまう。

酒は店内に設置された原酒タンクから「吟醸生酒」(600円)をいただこう。

まさに絞りたての味わい。
うーん、店でこんな生酒が味わえるとは幸せだ。

刺し盛り(一人前)」(1800円)


いくつかの伝統的な中華料理は何ですか

ネタは厚み十分で実にフレッシュ。
やっぱり、冷酒と刺身は黄金コンビです。

ホタルイカ」もいただきましょう。

ホタルイカといえば北陸、というイメージは全国的にすっかり定着したが、やはりこのくらいぷっくらとしていないと。
首都圏のスーパーなどで見かける哀しいくらいしょぼくれたホタルイカは本当にかつて同じ物だったのかといぶかりたくなる。

そしてお待ちかねのゲンゲである。
こちらの店では「げんげんぼう煮付」(800円)という名称だ。

ゲンゲもこちらでは「げんげんぼう」という愛らしい呼び名がある。
最近の金沢人にはゲンゲやげんげんぼうなどといっても知らない方が多いらしく、市場や魚で呼ばれている「水魚」といえば「あぁ、そんなのいたかなぁ…」というなんとも寂しい答が返ってくることもしばしばだ。
ゲンゲの存在自体を知らない人も多いことだろう。

で、このゲンゲの煮付けであるが、なんというか、すごぶる旨い!
お店の方に「ゲンゲの一番美味しい食べ方は?」と聞いたところ「煮付けだよ」と即答いただいたので迷わず選んだが、これが大正解!


ゲンゲを覆うヌルッとしたゼラチン質の正体を見たり!
といった感じである。
煮汁の染みこんだゲンゲ本体もさることながら、プルンプルンのゼラチン質がなんともいえぬ奥深さを演出しているのだ。
ゲンゲ鍋もいいが、やはりこのプルンプルンを堪能するには煮付けがベストだ。

回転寿司でゲンゲを握る店というと神奈川県の「廻鮮寿司処 タフ あざみ野店」を思い出す。(2時っチャオ!春の地魚回転寿司特集2 廻鮮寿司処 タフ あざみ野店 今日のテーマ「全国激レア寿司&激安ランチ」参照のこと)

正直、この煮付けに比べると刺身ではゲンゲの本質に触れることは出来ないと思う。
そのままで� �正体がつかめないが、一手間加えるとその輪郭がくっきりと現れてくるのだ。
やはり不思議な魚である。

この後、まだまだ酒宴は続き、金沢の夜は更けていった……

「源左ェ門」
石川県金沢市木倉町5−3
076-232-7110
17:00〜24:00
無休



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